ニート(NEET: n Education, Employment, or Training)を日本ではじめて紹介したのは社会科学リサーチャーのウィッタカー(沖田)敏恵さんだ。ウィッタカーさんは、イギリスの若年就業問題とその支援策を解説するなかで、16-18歳のうちで約9パーセントを占 める「教育・雇用・職業訓練のどの活動にも従事していない若者」の存在を指摘した。
日本でも2000年代に入り、若年の失業率が高止まりを続け、200万人を超える「フリーター」という不安定就労を続ける若者が話題となった。
ニートが社会問題として認識されるようになった背景には、失業者にもフリーターにもなれない若者が日本にも多数存在し、かつ増加を続けてきたことがある。
フリーターの多くは学卒後に非正社員というかたちで就業しているのに対し、ニートは就業していない。同じ無業者であっても、失業者は求職活動もしくは開業の準備中なのに対し、ニートは仕事に従事するための活動をしていない。
日本のニート問題をいち早く指摘した教育社会学者の小杉礼子さんは、ニートを「社会活動に参加していないため、将来の社会的なコストになる可能性があり、現在の就業支援策では十分活性化できていない存在」と表現する。
統計上、日本版ニートには二種類の定義が存在する。
一つは「非労働力人口(就業者でも失業者でもない人々)のうち、年齢15〜34歳、学卒、未婚者であって、家事・通学をしてない者」であり、厚生労働省はこの定義を用いて、2004年時点のニート人口を64万人と試算している。もう一方は「15〜34歳のふだん収入を 伴う仕事をしていない無業者(ただし通学と有配偶を除く)のうち、就業希望を表明しながら職探しをしていない人々と、就業希望を表明していない若者の総和」として定義されたものである。
後者の定義は内閣府「青少年の就労に関する研究会」で採用され、2002年時点のニート人口を85万人と推定した。
両者では、独身で家事手伝いの人々をニートに含めるか否かで見解が異なっている。
参考資料
沖田敏恵
「社会的排除への認識と新しい取り組み−コネクションズサービス」『諸外国の若者就業支援政策の展
開−イギリスとスウェーデンを中心に』資料シリーズNo.131、日本労働研究機構、2003年
小杉礼子
「若年無業者増加の実態と背景−学校から職業生活への移行の隘路としての無業の検討」『日本労働
研究雑誌』第533号、4−16ページ、2004年
内閣府
『青少年の就労に関する研究会報告』2005年